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11月に行われた、東京パフォーマンスドールのプレイライブ1×0エピソード4のお芝居の感想を語っていこうと思います。
記憶を頼りに書いていますので、間違っていたらすみません。
今回のエピソードは、ラコちゃんとウサキちゃんが主役の「BITTER SWEET MEMORY」というお話。
いとうせいこうさん作詞によるラップ曲「BITTER SWEET MEMORY」が披露されたり、光と影を使った演出や、ボックスを使った迷路の表現、ラコちゃんの必殺技が炸裂したりなどなど、盛りだくさんの内容でした。

(↓「東京パフォーマンスドール/PLAY×LIVE『1×0』EPISODE 4公式ダイジェスト」)

■お話の概略

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あらすじ。
渋谷の地下に落ちたTPDの10人。
元気でいつでもニコニコ、アイドルキャラのラコのことを、クールなウサキは苦手だった。
メンバーの「ペアで出口を探そう」という提案で、ウサキは苦手なラコとペアになってしまう。
2人が扉をくぐると、そこはにぎやかな音と光のあふれるクラブ。
「踊ろうよ!」といつものようにご機嫌なラコのテンションについて行けず、いらだちが募るウサキ。
ウサキにとって、いらだちの理由はラコ以外にもあった。
オーディション合格後、めまぐるしく進んでいくTPDの日常に、クールなうさきは今一つ乗り切れないのだ。
一方ラコにも悩みがあった。初ライブを最後にTPDを辞め、両親とともに北海道に引っ越すことに決めていたのだ。
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回を増すごとに世界の秘密が明らかになりパワーアップしていく、1×0。
最終話の1つ前の今回は、笑いあり、涙あり、それでいて演出の面白さなど舞台として見せるところはしっかり見せて、最終回への盛り上がりを感じるエンターテイメント性の高いエピソードでした。
主役のラコちゃんとウサキちゃんは同い年の中3のペア。一般的に中3というとアイドルグループの中でも妹属性の部類に入る年齢ですが、TPD自体平均年齢が低い上、彼女達にとって舞台出演も4作目にあたります。結成からの日が浅いと言っても、2人ともしっかりとお芝居をしていました。
役柄通りいつもニコニコマイペースなラコちゃんと、いつもナチュラルで自然体な男前ウサキちゃんの凸凹コンビのキャラクターが作中でもすごく生き生きと感じられました。
ここからは、まずはそんな2人についてそれぞれ考えていきたいと思います。

■ラコちゃんのアイデンティティ

 「ラコちゃんはね、自分の事、『ラコちゃん』て言うんですけど、それが何か?」
これは、冒頭の全エピソード共通のパートのラコちゃんの自己紹介です。
作中のラコちゃんの役どころは、絵にかいたようなアイドル。ちょっと場違いな感じがありながらも、いつもニコニコしていて元気でポジティブ、それを日常生活でも維持しているので、ウサキちゃんには「いつの時代のアイドルだよ」と内心毒づかれています。
外から見るといつも天然でニコニコしているラコちゃんですが、内心では歌もダンスも初心者で、お稽古では劣等生で悩んでいる、という役でした。
rako

ラコちゃんの「それが何か?」という定番のセリフが私はすごく好きですね。
天然のようなありながらも「それが何か?」と聞き返しているところに、天然というだけじゃない周りをうかがう彼女の自意識が垣間見られるような気がします。でも、「それが何か?」と言っても全然嫌味にならないのは、ラコちゃん本来のかわいらしさゆえだと思います。
目力が強いラコちゃんのニコニコはかなり破壊力があって、主役ではなかった前までのエピソードでも、ウサキちゃんとペアを組む時うっとおしい演技はかなり際立っていました。他のメンバーの役は「自分自身を演じる」という要素が強そうな中、ラコちゃんに関してはお芝居中の「ラコちゃん」というキャラクターをかなり確立しているように思いました。

はじめのうちはラコちゃんの明るい面しか見えてこないのですが、だんだんTPDの中で悩んでいるということがわかってきます。
「自分のキャラもどうすればいいのかわからない」「うさきちゃんに憧れている」「うさきちゃんのように自然体になれない」。
仮にもアイドルだし、中三という年齢で大人への脱皮を図る時期でもないと思うので、ラコちゃんのようにキャラが強い子は得だと思うのですが、「自然体になりたい」というラコちゃんの願いは、アイドルというより等身大の普通の女の子のようで、すごく健気に感じました。

これは私の勝手な印象ですが、エピソード1,2の時のダンサミのラコちゃんを見て、「笑顔職人だな」と思いました。ラコちゃんの笑顔はいつも崩れないので、歌や踊りからあふれ出る感情を表情にするというより、笑顔を頑なに守っているように見えて、この子には「私、この笑顔で食べていくのよ!」という思いが人一倍あるのかなぁ? なんてことを見ていて考えました。
その後少し時間があいてエピソード3が始まった時に、ダンサミの時のラコちゃんの笑顔がちょっと柔らかく、自然になったような気がしました。Dreamin’を踊るラコちゃんがちょっとお姉さんになったような気がしてドキリとしたものです。ひょっとしたらエピソード1,2から時間があいて余裕が出てきたのかもしれません。
そんなラコちゃんを見て「かわいいな」では無く、「きれいだな」と思いました。

そんな勝手な印象があったもんですから、作中の、時間的には初ライブ前のラコちゃんが「自然になりたい」と言っているのを見ると、思わず「数か月後になれるんだよ! 今なってるんだよ!!」と声をかけたくなりました。

個人的にラコちゃんのみどころだの一つと思ったのは、扉を抜けてクラブに入った時。らこちゃんが「踊ろうよ!」と言ってテンション上げ上げで音楽に合わせて踊りだすシーン。
その踊りが、どじょうすくいっぽかったり盆踊りっぽかったりして、てんでカッコよくないのですが、ラコちゃんは持ち前のキラキラした瞳で楽しそうに踊ります。
そのたたずまいが何とも楽しそうで、おめでたくて、愛らしくて、ついラコちゃんの動きに見入ってしまいました。あの姿を思い出すと、なんだか幸せな気分になります。
続いて、「あの歌うたうの楽しみ」と言って、お芝居中におちゃめなジュリエットを歌いだすシーン。
演技からいきなり歌いだすわけですが、この時のらこちゃんの声も音程もすごくしっかりしていて、びっくりしました。経験者の多いTPDではまだあまり目立ちませんが、ラコちゃんはかなり歌がうまいのではないでしょうか?
終盤にもDreamin’を歌いだすシーンがありますが、この時の声もきれいなと感じました。
 
最後は、このお話の一番の盛り上がでもあり、ラコビームがさく裂するゼペットとの対決シーン。
ラコちゃんの「それが何か?」という名台詞は、ここでもいい味出していました。
ウサキちゃんの「よくわからないけどなんか恥ずかしいから」と止めに入る姿もすごく自然で、普段の二人のやり取りを見ているようでほっこりしました。

■跳べないウサキちゃん

 「ウサキ、もっと高く跳ぼうよ、私たちならできる」
神宮沙紀ちゃんは、名前の後ろから3文字をとって「うさき」と呼ばれています。
1×0の世界では「月が落ちてくる」という共通モチーフがあります。月の兎とかけて、このお話ではウサキちゃんは兎になぞらえられていました。いつも理性的ではじけられないウサキちゃんに対して、1×0の世界が「高く跳べ」と迫ります。
TPDになってめまぐるしく変わる日常に乗り切れないウサキちゃんは焦りを感じ「TPDのことなんて忘れたい」と願います。結果、記憶喪失になってしまいます。
usaki

なので、ウサキちゃんの演技の多くの時間は記憶喪失の状態です。
この記憶喪失になったウサキちゃん。何ていうか、褒めてるんですけど、「赤ちゃんみたいだな」と思いました。

まず、ウサキちゃんはゆで卵みたいに白くてほっぺがぷっくりとした顔立ちをしていて、目が大きい。これが見た目の印象として赤ちゃんぽいです。
演技の面では、記憶喪失で状況がわからないウサキちゃんは、いつもちょっと驚いた表情をしています。
それがすごく自然。まさしくこの世界に生まれたてのように、1×0の空間で起こる一つ一つのことに驚いた表情をして、ラコちゃんの陰から様子を伺います。その様子を見ていて赤ちゃんみたいだなぁと思いました。

ラコちゃんにつられてビームを出すことに成功したウサキちゃんが「楽しい!」と興奮してはしゃぐシーンがありますが、それすごく印象に残っています。
すごく無邪気で、自然で、子どもみたいでした。
お話的には、冷静過ぎて跳べないウサキちゃんが一つ心の壁を打ち破って高く跳んだ重要なシーンでしたが、ウサキちゃんが本当にうれしそうに普段見ることが無いであろう感じにはしゃいでいて、私の中に晴れやかな名シーンとして記憶に残ってます。

ところで私はウサキちゃんがジャンプしているのが好きです。ダンサミ「キスは少年を浪費する」で、全員がアイドルジャンプをするタイミングがありますが、ウサキちゃんは背が高いこともあって、躍動感があってノビノビジャンプしているように感じます。
あそこはいつもウサキちゃんに目が行きます。

今回の記憶喪失の役以外の素が見えるような時でも、ウサキちゃんはクールな割に腕白っぽいところがあって、その気ままさ子供っぽくてかわいいです。千秋楽の挨拶でリーダーの菜七ちゃんがウサキちゃんを評して「甘えん坊なところがあったりする」と言った時、菜七ちゃんをウサキちゃんが小さく足で小突くのですが、それがツンデレっぽくてなんともかわいかったですね。

■TPDのこれから

今回のエピソードでは、なぜゼペットによってTPDのメンバーが1×0の空間に呼び出されたかの謎が明らかになります。
「君達はこれからたくさんの人に愛される」
「たくさんの人たちが君達のコンサートを見たいと思うようになる」
「私は今まで仮想現実を研究してきた。なぜならそこでは全ての問題が解決すると思ったからだ」
確かこんな感じのセリフだったと思います。
こうしてゼペットは異空間に吸い込まれてしまいます。

私はここで落涙でした。
私はこの手の話にすごく弱いです。
私事で申し訳ないですが、多分私は熱中する対象を求めて生きているんだと思います。だからライトを浴びて輝くアイドルが好きなんだと思います。
世の中にはアイドルがたくさんいますが、娯楽が多様化したり、なんやかんやの理由から、「その子のパフォーマンスに老いも若きも皆が熱狂する!」という状況が生まれにくくなっていると思います。
でも私は、私が全ての人と一緒に熱中できるアイドルをずっと見たいと思っているのです。
1ファンとして、将来的にTPDが愛される存在になってほしいという思いはもちろんありますが、私の「皆と熱中する共通の対象がほしい」という心の隙間にこれは熱く沁みました。

というか、これって随分思い切ったセリフだと思うんです。
新生TPDはアイドル好きな方にも結構評価されていると思っている今があるので良いですが、仮に評判が悪い状態なのにこんなセリフを聞かされても、何の信憑性もないと思うんです。ファンとしてもかなり興が冷めちゃう。
でも、少なくとも私が泣くくらいには「こんな未来が来るだろう」っていう説得力があって、希望に満ちてて、お話としてちゃんと成立する。
それはすごいことだと思います。
それに、スタッフのTPDへの期待の高さも伺えます。熱いですね。好きですそういうの。

次は最終輪のエピソード「THE PERFECT DAYS」は12月20日から始まります。
主役は二葉ちゃんと沙南ちゃん。
こちらは、タップダンスを使ったパフォーマンスが披露されるということなので、楽しみですね。

来年からは再演も始まるので、2014年はもっともっとファンが増えるといいなぁと思います。