Cosmicbeat

11月の中旬から、3週連続週末にストリートダンスを見に行くという私としては珍しい休日の過ごし方をしました。
「ダンスを見に行った」と言うと、「そんなんどこでやってるの?」「一体何を見るの?」周りの人間から不思議がられるので、ここは一つそれぞれの公演のレポートを書いていこうと思います。
記憶を頼りに書いていくので、間違っている箇所があったらごめんなさいです。

■BBB SHOCK LIVE5


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2013年11月17日
新木場スタジオコースト
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これは以前別途「甘い物よりBeat Buddy Boi」というブログで書いた、男性7人のヒップホップチームBeat Buddy Boi(以下BBB)のライブです。
ダンスの単独公演は着席で鑑賞し、トークに割く時間がごくごく短いものが多い中、スタンディングでお客さんを煽り、ガンガンマイクでしゃべり、時にマイクを持って踊る(歌わないけど煽るため)、ミュージシャンのコンサートをそのままダンスに置き換えてライブを行っているのがこのチームの公演の特長です。
分類すると、ダンスの単独公演きっての「湧く現場」がココなんじゃないかと思います。

客層は10代~20代の若い子が多いですが、キッズや付添いの親もいるので幅広い感じです。特に子供の多さには驚かされます。
今回のライブではキッズエリアを伸長を140cm超えている子といない子で分けていて、キッズの多い現場ならではの工夫があり、興味深かったです。
BBBのライブはとにかくキッズが元気で、常に子供の歓声が響きます。
何事もアイドルの現場を引き合いに出して話をしてしまうのですが、子どもに人気と言われている女性アイドル(アイドルと分類するのは微妙なところもあるのですが)の単独ライブにいくつか行ったことがあるものの、子どもがこんなに声を出してタオルを振って騒ぐ現場にまだ出会ったことがないので、こういうお客さんを育てたのはすごいといつも思います。

あと客層の話をすると、これはストリートダンスの公演総じて思うのですが、ダンスをやっていて日頃から鍛えている人が多いからか、お客さんがオシャレで健康的です。
そういうの見ていると、「魅力的な人であるためには、適度な運動は必要だな」と、自分の生活態度を思い返し物思いにふけってしまいます。私事で申し訳ない。

内容は、まずOPにLEDディスプレイとレーザーを使った、一番派手な演出の「L.E.D」というネタから始まり、テンションがすごくあがりました。
その後は笑って、泣いて、カッコいい、楽しい2時間でした。

笑いという点では、BBBのライブは笑いに対する仕込みがすごく凝っています。
笑いのために、映像を撮り、衣装や小道具を揃え、化粧をし、時に外部から出演者を呼び、などなど。
パフォーマーの中で、お客さんをひきつけるためにパフォーマンス中にちょっと笑いの要素を取り入れる人たちもいますし、中には「本当はこんなことやりたくないんだ」という雰囲気を感じるものもありますが、BBBは笑いに意欲的に心血を注いでいるのを感じます。だからこそ楽しく見れるし、その潔さをすがすがしいと思います。

1つご紹介すると、毎回「体育」というタイトルの体を使ったコントがあります。
内容は、体育の先生に扮するリーダーakihic☆彡さんと、体操着を来た生徒役のgash!さんとSHINSUKEさんがいろんなことに体を張ってチャレンジし、たどたどしい動きで笑いを誘うという物。
今回のテーマはバランスボール。ひとしきりコミカルな動きで笑いをとった後、ラストにSHINSUKEさんがバランスボールを使った見事なダンスを披露して、拍手を浴びて終わりました。
体系がふくよかで丸いシルエットのSHINSUKEさんなので、まさしくボールと一体で兄弟のよう。そんな絵面が笑いを誘います。
バランスボールの上に立つだけでもすごいのに、ボールのクッションを利用して飛び跳ねたり、アクロバットしたり、しかもそれを音楽に合わせたダンスするというのは大層時間をかけて練習にいそしんでいただいたんだろうと思います。
本業のヒップホップダンスではないのに、ハングリーに他のことにもチャレンジするのは、ひとえに楽しいライブを作りたいということだと思いますので、笑いの中にそんな心意気を感じてグッと来ました。

一方、目頭が熱くなるような演出もありまして。
いつもライブの最後にやっているマイケルジャクソンの曲を使ったダンスを披露した後、「これから、応援してくれる皆のためにもう一つだけプレゼントダンスをします」とリーダーから言葉があり、数年前にBBBが日本一を取った時の思い出深いダンスが披露されます。
MCの感じで新ネタ披露という雰囲気でもなかったので、「プレゼントダンスって何だろう?」と思ったのですが、そこに来てこの思い出のネタだったので、高まりました。
ファン歴の浅い私ですら目頭が熱かったので、長い人は目頭も目じりも、涙袋もまつ毛も眉毛も全部熱かったじゃないでしょうか。
演出上手ですね。優しい。

あと、直接ダンスとは関係ないのですが抽選の時間が好きですね。
ライブ中にチケットの半券を使って抽選を行うコーナーがあり、この時のMCがいつも興味深いです。
今回は抽選が終わった後、「当たらなかった人、ガッカリしてるでしょ」とRYOさんがおもむろに話はじめ、聞いてる側は「さらに景品の追加があるのかな?」と期待したのもつかの間、「当たらなかった人、ガッカリしているでしょ。でもそれが普通だから。」と会場のテンションをバッサリ切り落とします。さらに「みんな景品をもらいに来たの? ダンス見に来たんでしょ?」と、何のためかわからない説話が続きます。
この後MCで会場のテンションを再びあげて、ライブは続いていきます。
別のライブでは当選者を「バカヤロー」といきなりののしり、「オレが皆の代わりに言っておいたから、みんなは当たった人を恨んじゃだめだよ」みたいな感じのことを言った時もありました。
この抽選のMCが毎回予想外すぎて、いつも人生における何かを悟った気分になります。

全力で踊って、全力で笑いをとるBBBは私の心の中で「かっこいいもの」としてドシンと城を築いています。
そして見てると「じゃあなぜかっこいいのか?」「『かっこいい』の本質ってなんだろう?」とブツブツと考えてしまいます。
こういう感覚も一種の「異化効果」なんでしょう。

[Beat Buddy Boi〜 L.E.D (Live Electro Dope) /BBB SHOCK LIVE vol5(COAST) ]

BBBについてはリピーターなのでファン目線のレポになってしまったのですが、次以降の二つの現場は今回初めて行ったので、もっとフレッシュな感性でお送りします。

■MORTAL COMBAT THE LIVE ZERO 東京公演


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2013年11月24日
銀河劇場
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こちらはブレイクダンスのチーム、MORTAL COMBAT(以下モーコン)の単独公演。
ブレイクダンスなので、最大の魅力は鍛え上げられた肉体から繰り出されるダイナミックな大技。
屈強の肉体をもつ男女が、重力を無視して跳んだり回ったりを繰り返します。
身体能力がすごいという単純な驚きもあるのですが、それだけじゃなく踊ってるからカッコいい。
動きも表情もカッコいい。
迫力の音楽と大技の連続で、ステージからガツンガツンとパワーを感じました。

天王洲銀河劇場と言えば、行くのは2年前東京女子流のクリスマスライブ以来ぶりです。
前述のBBBはオールスタンディングでしたが、こちらは座って鑑賞します。舞台を見ているイメージですね。
途中抽選であたったお客さんをステージにあげる催しがあったのですが、そこで上げられた若者(男性)がブレイクダンス経験者で、MAXという片手で逆立ちする技を決めてくれたところにダンス現場特有のものを感じて「おお!」となりました。

銀河劇場自体、高級感があるし見やすくて好きな箱だったので、「銀河劇場に行く!」というだけでテンションが上がってました。
モーコンはUSJでワンピースのショーをしていたチームでもあるので、麦わら一味から花が届いていました。

mortalcombat

ONE PIECE麦わらの一味の方々から素敵なお花が。

その上、「ワンピースの声優の方が見に来ているよ」と同行者に教えてもらって、さらにテンションが上がっていました。
ちなみに私を誘ってくれた友人はUSJフリークで、そこでモーコンを知ってファンになったそうです。そういう入り方もあるんですね。

そんな感じで、開始前からダンスとは関係の無いところでテンションがあがっていたのですが、始まってみればそんなの吹き飛ぶほど純粋にダンスそのものに興奮しました。力強さと迫力に圧倒されました。
ただ力強いだけじゃなくて、クラシック音楽で繊細に踊ったり、コミカルな演技で笑いを誘うパートがあったり、様々な表現があって、ブレイクダンスをテーマにしたいろいろなアプローチにチャレンジしているのを感じました。ブレイクダンスのフルコースを出された気分でした。全て美味しくいただきました。

メンバーに1人MIKIさんという女性の方がいて、すごく力強く美しかったです。
産休明けの一児の母ですが、鍛え上げられた肉体で男性と同じように舞台で踊ります。憧れました。
男性と同じことをするだけじゃなくて、もちろん女性らしさを表現する演出もあり、着物をまとって登場するパートでは表情がキラキラ輝いていておキレイでした。
踊っている時は強くしなやかですが、MCでしゃべってる姿がすごくかわいらしくて、私の心に春風が吹きました。恋に落ちちゃう。
どこか女性誌でMIKIさんの特集組んでください。

公演を見ていて、チームの絆の強さをすごく感じました。
公演ラストに「ダンサーなんで、踊って終わっていいですか?」とMCが入り、一人一人のソロセッションで終わるのですが、他のメンバーのダンスを見る時のメンバー一丸の盛り上がり、晴れやかな表情、どれも見ていてとても楽しい気持ちになりました。
もちろん他のダンスの演目を見ていても、お互いをフォローしあって作り上げられているショーなんだということはひしひし感じますが、こういう素に近い部分を見るとなお一層、家族のように支えあっているチームなんだという温かみを感じました。
RYOMAさんのMCで「子供が生まれて、ダンスに対して新しいものが見えてきた」という話があったのですが、さまざまなライフイベントを経験し自分自身が変わっていくたびに、同じ時間を共有する仲間がいるというのが、すごく素敵だなと思いました。

モーコンは今年で結成10周年。カフリの2人にもそんな時が来るといいです。

■COSMIC BEAT


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2013年11月30日~12月1日
日本青年館大ホール
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ELダンスのチームとして認知度の高いWRECKING CREW ORCHESTRA(以下WCO)の公演です。日本青年館大ホールで行われました。
以前、M-on!のDancer’s Worldという番組で、昨年の公演FAKESTの様子が一部流れていて、「機会があったら見てみたい」と思っていたところ、今年の公演は東京でも開催されるということで「ラッキー!」と思って見に行きました。

とにかく、美しかったですね。
WCOは、ストリートダンスの各ジャンルのスターダンサーが集まった大御所チーム。単独公演も10年目になるので、ダンス、演出、その他もろもろ、全てがすごく成熟しているのを感じました。
観客もお子さんからその祖父母世代までいて幅がひろかったです。今回行った3つの中では一番年配層が多く足を運んでいて、結果観客の年齢層が一番幅広く感じたのがWCOでした。認知度が高いんでしょうね。

話題のELダンスはもちろんのこと、プロジェクションマッピング、レーザー演出が多様され、舞台芸術の最先端を感じました。
でも、もちろん魅力は目新しい最新技術だけじゃないのです。人間の様々な種類の愛情がダンスに表現されていて、人の心を感動させるのは、やはり人の心なんだと改めて感じました。
技術、体、感情、それぞれ別々の3つが液体に溶け合って、日本青年館大ホールに洪水みたいに流し込まれた、そんな印象を受けました。
すみません、ポエマーになりました。

もうちょっと具体的に感想を書いていきます。
この公演には物語りがあります。
以下、パンフに書かれていることを要約するとこんな感じです。
些細なきっかけで喧嘩をした恋人同士が、異世界に落ちてしまいます。二人はお互いを探し出したいのですが、「音売り」というキャラクターに自分の「音」を奪われてしまったため、探し出す手がかりを失ってしまいます。
二人は異世界の様々なキャラクターに助けられながら、再会を目指します。
このお話の中で、さまざまなキャラクターが現れて、それぞれに見せ場のダンスシーンがある、という形で公演が進んでいきます。

「愛情がダンスに表現されている」と書きましたが、具体的にいくつか印象に残ったシーンを上げてみようと思います。
まずはDOMINIQUEさん演じる音売りというキャラクターの親子愛のシーン。
人の音を盗む役どころなのですが、実は音を失って動かなくなってしまった娘を生き返らせるための音を探しているという設定でした。
DOMINIQUEさんは娘さんを生き返らせることに成功します。感無量のDOMINIQUEさん。一方娘さんは、今まで状況を理解していないのでお昼寝から起きたような普段のテンション。
そんな娘さんをDOMINIQUEさんは抱きしめようとしますが、娘さんは腕をすり抜け、無邪気にじゃんけんゲームをしながらセットの階段を下りていき、その後DOMINIQUEさんと2人で親子水入らずダンスを踊ります。
ジャンルで言うとヒップホップですが、そのダンスがすごくみずみずしくて、優しくて、温かくて、見ていて心が満たされました。
娘さんがDOMINIQUEさんの手をすり抜けた時に、「親の心子知らずってこういうことだなぁ」ってこそばゆい気持ちになり、途中娘さんがふざけて動かなくなるところではハラハラさせられ、その直後娘さんがDOMINIQUEさんの顔をつねるところは愛くるしさに溢れていました。

続いて、主役の女性YOSHIEさんが、村の優しいおばあちゃんであるLEEさんと女性二人で踊るシーン。この時のLEEさんの笑顔が印象的で、優しさや愛情を感じてぽかぽか温かかったです。太陽みたいでした。隣人愛というのでしょうか? YOSHIEさんの役であるイリー(こっちが女性名ですよね?)をすごくケアしているのを感じました。

最後に終盤の、主役の恋人同士役であるYOKOIさんとYOSHIEさんが、それぞれステージ上の別々の段差の上に立ち、離れた位置で2人同じ動きで踊るシーン。二人が激しく同じ動きで踊るのですが、一箇所それぞれの胸を抱きしめる、動きの緩やかな振付がありました。一人一人別々の場所に立っているのに、なぜか二人が抱き合っているような錯覚に陥って、切なさで胸がぐーっと締め付けられました。

というような感じで感動系のところばかりの感想を書いてしまったのですが、真面目なものばかりではなく、コミカルなシーンもたくさんありました。スタードラフト会議でもお馴染みメガネのダンサーKARINちゃんなどちびっ子ロックダンサーが活躍する「測量体」のシーンはコミカルでファンタジー童話を見ている気持ちになりましたし、YOSHIEさんが王様に求婚されるシーンは声を出して笑いました。
YOKOIさんが音を盗ったDOMINIQUEさんを追いかけるシーンでは、プロジェクションマッピングが効果的に使われていて、スーパーマリオのゲームの一場面みたいでした。シルエットを使って、セットのいろんなところに潜りこんだように見せるシーンも面白い演出でした。

タイトルに「COSMIC」という言葉が入っていますが、さまざまなジャンルがあって、様々な感情が表現されていて、その情報量の多さにコズミック感を感じました。
「とにかく、美しかった」と最初に書きましたが、物事を練りに練って洗練していき、どんどん不要な情報とか、エゴとか、そういう雑多なものがどんどん無くなって、結果生み出された物の持つ美しさみたいなものを感じました。
すごかったです。本当に。

[WRECKING CREW ORCHESTRA “COSMICBEAT” Ending Theme ]

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そんな感じで、ダンスの現場に3つ行ってきました。なかなかダンスを生で見る機会が無いので、どれもすごく楽しかったです!
師走に入ったのでこんな話をするのですが、「ダンスが見たい!」と思った2013年の始めの方は、「見たいけど、きっと一緒に行ってくれる人もいないし、見たい見たいと言いながら行かないんだろうなぁ」と考えたいたんですが、意外と一緒に行ってくれる人に恵まれたり、一人で行けばいいじゃないかと開き直ったりして、思いのほか現場充ができました。
来年もこうやって色んなものを見て、色んなことを感じ、考えて過ごしていけたらいいですね。